『声が聞こえた』で始まるラブストーリー


私は今日初めて、

真っ直ぐに安藤君の視線を捕らえて、
言った。



「ありがとう、安藤君。
こ、今度は…私から言うね?」



「え?何を?」


安藤君は訊き返す。




…やばい。


顔が熱い。


たった一言言うのに、ここまでエネルギーを使うなんて…



大きく深呼吸をし、安藤君の目に視線を戻した。




さぁ、言うぞ。


鼓動が急に早くなる。

私、きっと今ものすごく顔が赤い。

恥ずかしい…


でも------


「…ぁ、ぁのっ…
つ…つつつ付き合ってく、ださいっ。」


なんだか、ものすごく緊張してものすごくかんでしまった。
というか、区切る所までおかしくなった。


心の奥で恥ずかしさが増す中、安藤君の顔を見上げる。



その顔は微笑んでいて…

今度こそ夢で終わって欲しくないこの状況、

今度こそ真実であって欲しい彼は


そっと、微笑み絶やさずに、その頭を縦に振った。



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