『声が聞こえた』で始まるラブストーリー

『…え?』

『だから、言いたい事はちゃんと言った方がいいと思うよ。
伝わらないと悲しいじゃん。』


言われたから、あの日…


初めて安藤君に話しかけられた時。


『あ、あとさ…』

『?』
 
『ちゃんと目合わせて話そうぜ。』

『え…あ…』

『綺麗な目してるんだからさ。』



ちゃんと言いたい-------。




心臓が熱くなって、しだいに高鳴る。


彼は、ただそんな私を見ながら、言葉を待っている様子。


私、きっと今、おでこが汗ばんでる。

いい風が吹いて、彼の金色の前髪を大きく揺らしてる。

恥ずかしい…できない。

やっぱり、無理だよ~…。


『やってもいないのに、すぐ無理とか言わない!』


…そうだ。


確かこれも、安藤君に叱られたんだっけ。


私って本当に情けないなぁ…




『無理じゃない。緒方さんはできるんだよ。』


そう言ってくれたから、

うだうだ言ってないで、訊かないと。



少しずつ、安藤君の視線に自分のを合わせる。


唾を飲んで、息を吸って、


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