『声が聞こえた』で始まるラブストーリー
「ね…安藤君。」
「ん?なに??」
彼は整った眉毛をヒョイっと上げて見せた。
「あの…ね。」
「うん?」
「訊きたいこと…あるんだけど…」
「何だい?セイセイ。」
「あの…
どうしてなの?」
もうここまで言ってしまった。
もはや後には戻れない。
「え?何が?」
「…どうして…私なんかに優しくしてくれるの?」
安藤君の顔つきがやや真剣になる。
でも、私はまだまだ訊き続ける。
「どうして…私なんかと話してくれるの?」
「…………」
「どうして?わ、わからないよ…全然わかんない。」
安藤君はただ黙りこくって、私の言葉に耳を傾ける。
私も、ただ一言訊くだけだったはずなのに、
なんだか口を開けば、感情が次から次へと溢れ出すみたいで。
「だって…私なんかと話しても何も得なんてないし、
たいして楽しくないし…
安藤君は……どういう気持ちで私と話してるの?」
感情が溢れ出して止まらない。
私、熱くなりすぎてる。
「毎朝の挨拶とか、話しかけてくれるのとか…
嬉しいよ?嬉しいけど…
どういうことなの??友情?同情?
それとも…」
言いかけで、風がものすごい強さで吹いて。
舞い上がったカーテンが私たちを隠した。
その瞬間だった………-----