『声が聞こえた』で始まるラブストーリー


降りてきたのは、

言葉ではなく

安藤君の大きな手だった。



その手は、私の頭をポンポンと撫でた。



自然と前に向き直る私。
再び交わる視線。


最初に口を開いたのは安藤君だった。


「…ったく、もうあんなに恥ずかしいことさせるなよっ」


「え??」


「緒方さん全然気付いてくんないんだもん。
俺あんなにアピってたのに。」


「…あ。はぁ……って、はいっ!?」


「え。いや遅いな緒方さん(汗)
だから好きなの。おわかり??
信じてほしいの。おわかり??
あ~っ、恥ずっ!」



ただ、嬉しくて、思わず固まってしまった。
こんな奇跡が私みたいなのにも起こるんだ。



「俺さぁ、どうしても最後まで自分からは言いたくなかったんだよね。
なんか、照れくさいってか…うん。
だから、ずっと付きまとったでしょ?あれはつまり、俺に惚れさせて、逆に告白して欲しかったの。
我ながら男らしくないなぁ、俺。ははっ」



か、可愛い。
え、何何。これは夢じゃないんだよね?
現実だよね??

き、奇跡だ…


だって、私、緒方萌歌も彼のことが好きだったから。


彼の態度に好意を感じてたとかそういうのじゃなくて、
ただ、”私”を見つけてくれた彼がとても好きになっていた。


それが、
まさか少女マンガみたいな理想的な展開になるなんて…


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