僕にキが訪れる
近付きたくなど、なかった。

初めから。

ずっと、他人を遠ざけていた。

誰かに近寄るのが、怖かった。

近付いて、そして、裏切ってしまうのが、怖かった。

同情されるとか、そんなのは、言い訳だった。



本当は、近しい誰かを傷つけてしまうのが、嫌だったんだ。



だから僕はずっと壁を作って生きてきたのに。



気付けば、近付いてしまっていた。



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