僕にキが訪れる
少女がそこにいた。

世話は2人で交互に行う約束だった。

連れてきた友達を見て、少女の表情が不満そうな色を帯びる。


『ないしょだっていったのに……』


悲しそうな顔だった。

秘密を明かされたことが、裏切られたことが、ショックだったのだろう。

けれどその時の僕はそれほど深刻には考えなかった。


ゴメン、つい。


軽く謝った。

友達は子猫を見て、楽しそうにはしゃいだ。

そしてその子猫に触れようと、手を伸ばす。
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