僕にキが訪れる
別に、委員長は死んだわけではない。

病気に感染したわけでもない。

けれど、ただ裏切ってしまったという、その事実だけで、十分だった。

過去を思い出し、生きる意欲を失うのには。

こんな僕に、生きている価値があるというのか?


……いや、ない。


じゃなきゃ、こんな病気に感染するわけがない。

選ばれたんだ。

最初から、こうなる運命だったんだ。

きっと死ぬまでのこの最後の時間は、懺悔の為に用意されているんだ。

神様がいるとしたら、なんと残酷で慈悲深いのだろう。

無意識に腕に新たに生え始めていた芽を間引こうとしている自分に気付いて、やめた。
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