僕にキが訪れる
僕は、臆病だ。

何もかもが怖くて仕方がない。

寂しい、誰かに近くに来て欲しい。

そう心が告げる一方で。


誰も近づけてはいけない、と。


警告のように、響く声。


近付けば、きっとまた裏切ってしまうだろう。

傷つけてしまうだろう。

それが、怖い。

避けようと思えば、避けられることなのだろうか?

けれど、僕にはどうしても避けられることのようには思えない。

しがらみのように、僕に染み付いて、離れない、恐怖。


怖くて、怖くて。


ただ、怖くて。


だから僕は、嘘をつく。

何でもないことを装う。

作り笑いなら、誰にも負けない自信がある。
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