僕にキが訪れる
「こんにちはー」


元気な声が、病室に響く。

その声に気付き、僕がそちらに首を傾けようとするが、声の主は、「動かなくて良いよ」と、気遣いの言葉をかけながら近付いてきた。


「どう? 調子は」


覗き込んでくるのは、見慣れた笑顔。

僕はソレに対して、笑顔で応えたつもりだが、顔が上手く動いたかよくわからない。

けど、観察力がクラスの誰よりも秀でていたその少女は、僕が笑おうとしたことをわかってくれたらしい。

そっか、と言うと、ベッドの隣に常置されている椅子に腰掛けた。
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