僕にキが訪れる
世の中に、幸福に満ちたまま死を迎えられる人間が、一体どれほどいるというのだろうか。

恐らく、ほんの一握りではないか。

きっとほとんどは、悔いに満ちたままか、わけもわからないまま死んでいくに違いない。

それに比べたら、僕はあまりにも幸福だと言えるだろう。


けど、彼女は。


彼女は、どうだろうか?


幸せだとは、言えないのではないだろうか。

僕の存在を気にかけてくれているキミは。

僕の死を、どう受け取るのだろうか?

ありのまま全てを受け入れて、そのまま忘れていくのだろうか?

それとも、涙を流し、ずっと、ずっと悲しみ続けるのだろうか。



僕の手の届かない場所で、ずっと。



< 173 / 206 >

この作品をシェア

pagetop