僕にキが訪れる
もしも泣かせてしまうことになるのだとしたら、ただ、悲しい。

キミを悲しませてしまう自分が、情けない。

どうしようもないことだとわかっていても。

傍に、もういられないことが。

ただ、不甲斐ないと、そう思う。

自分の存在が、それほど大きいものなのか、自信はないけれど、けれど、きっとキミは泣くのだろう。

そういう人間だろうということは、理解していた。

どうにかできないものだろうか。

……無理か。死ぬのだから。

死ぬということは、現世の誰とも繋がらなくなるということなのだから。

だから、もう、キミの傍にもいられない。



……傍に?



あぁ、そうだ。

なんだ、大丈夫じゃないか。

ただ、傍にいることだけなら。

僕にも、できるじゃないか。
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