僕にキが訪れる
病院脱走は、あっけなく成功した。

まるで誰かが仕組んだのかと疑ってしまうほど、すんなりと、誰にも会わずに通り抜けられた。

これには委員長も驚きだったらしく、思わず2人で顔をあわせて笑ってしまった。

向かう先を明確に教えないまま、僕は方向だけを彼女に伝えていった。

道が、段々と見慣れた風景へと繋がっていく。

彼女も、どうやら僕の行きたいところがわかったらしい。

指を差さなくても、僕の行きたい方へと進んでいってくれた。

やがて、目的地に辿り着いた。
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