僕にキが訪れる
「……あの日以来だね」


ぽつりと、彼女が呟いた。


「どうして、ここなの?」


その問いに対して、僕はゆっくりと、口を開く。


「……あの、日、言えなかった、ことを」


心なしか、口がスムーズに動くようになってきた。

何度か動かしたせいだろうか、それとも今が夜だから植物化が抑えられているのだろうか。

理由はわからなかったけど、好都合だった。


「その、続きを、言いたかったんだ」
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