僕にキが訪れる
「ありがとう、って……
こんな僕を、気遣って、くれて。
うれし、かった。
その気持ちを、表すのに、もっと、たくさん、言葉を使いたい、けど。
……どうやら、時間は、許してくれない、らしい」


もう、目が見えない。

暗闇が、何の光も届かない、真っ暗な闇が、僕を覆い尽くしてしまった。

もう、指先の感覚さえ消えてしまった。

意識も、だいぶ遠いところにある。

眠りに落ちていくように。


遠く。


遠く。


けれど、まだ。

確かなものが、1つ。




優しい、温もり。




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