僕にキが訪れる
「だから……きっと、優しい、キミは、悲しむ、だろうけど。
僕は、いつでも、ここに、いるから。
どうか、悲しまないで、欲しい。
そして、できれば、たまには、顔を見せに、来て欲しい、な……」


ふと、彼女の手が離れたのを感じた。


温もりが、遠ざかる。


途端襲ってくる、不安。


手探りで彼女の手を探そうとするが、思ったように動いてくれない。


目も見えない。


息遣いだって聞こえない。


あの体温だけが、確かな感覚だったのに。

その手を、離してしまうのか?

どこかへ、行ってしまうのか?

置いていかれて、しまった?

そんなハズはないと思うけれど、今彼女の存在を確かめる術は何もない。

近くにいるのか、どこかに行ってしまったのか、そんな簡単なことさえ、わからない。

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