僕にキが訪れる
「でしょ? だから、キミはずっとここにいるのよ。
そして私の話を聞くの。
だから、私は、ちっとも、悲しくなんて、ないわ。
えぇ、裏切られただなんて、思わない。
これっぽっちだって。
だから、ねぇ?
安心して、ね?」


あぁ、キミは、嘘をつくのが下手だなぁ。

ぼんやりと、そんなことを思った。

声を聞けばすぐにわかってしまう。

僕に比べれば、まだまだだ。


けれど。


その優しい嘘が、とても、嬉しいと、そう思う。

僕は、腕がまだ動くか少し試した。

ギリギリ、どうにかまだ持ち上がる。

痛みすらない。神経すら麻痺してしまったか。

動いているかもわからない。

それでも、その手を、あげて。


大切な人を、抱きしめる為に。


「……ありが、とう……委員長……」
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