僕にキが訪れる
「……鈴木君?」


回していた腕をそっと外しつつ、少女は目の前にあるものを見つめた。

息をしていない。

動いていない。

当然だ。



ソレはもう、人間ではなくなっていたのだから。



けれど、それが信じられなくて。

さっきまで動いていたというのに。

自分を抱きしめてくれたのに。

その手が正に、自分の背中にあるというのに。

もうソレの血は、巡っていないのだ。
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