僕にキが訪れる
「変、じゃないんだけどなぁ……
まぁ、その話はまた明日、ね」


「あした? おはなみ?」


途端に、女の子が楽しそうな顔になる。


「えぇ、そう。今度はお父さんと一緒に、ね。
お弁当作って来ないと。
ねぇ、マキは、何が食べたい?」


「からあげ!」


マキと呼ばれた女の子は、迷わずにリクエストを挙げる。


「そう? じゃあ、たくさん作って来ないとね……4人分」


「え? マキとおかあさんとおとうさんだけじゃないの?」


「うん、美味しいって、言ってくれたから。
また作って来ないと」


何のことを言っているのか、女の子にはわからなかったが、から揚げを食べられると知ってそんなことはどうでもいいらしい。

きゃっきゃと無邪気に喜んでいる。

母親はそっとため息をつくと、その不思議な木を見上げた。

そして、心の中だけで、そっと木に話しかける。
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