僕にキが訪れる
「だったら他の人の持ってきちゃえば」


「そしたらその人が困るでしょう?
悪いのは私のを持ってった人なんだから、他の人巻き込むわけにゃいかないじゃない」


ずずーと一口。続けて「熱ッ」。

なるほど、委員長だなぁ。変なところで真面目な人だ。



そう言えば僕はこの人のことを全然知らない。



こうして話す機会ができてようやくそれに気付く。

周囲と上手くやれてなかったワケではなかったが、しかし積極的に溶け込もうともしなかった。

関わる必要がなかった人のことは特に覚えていない。覚える必要もなかった。

委員長のことも、何となく元気な人だなくらいな印象しか残っていない。

まぁ、それでよかったのだろう。



実際、もう必要はない。



< 22 / 206 >

この作品をシェア

pagetop