僕にキが訪れる
雨はいまだに止む気配もなく、このまま帰すと彼女がまたびしょ濡れになることは目に見えていたが、外はもう暗くなり始めていた。

いい加減帰らないと女の子は危ないだろう。


「そろそろ帰るね」


沈黙を破ったのは彼女だった。

静かに腰を上げると、玄関の方に向かっていく。



そのまま行かせることもできた。



が、少々残った罪悪感が邪魔をした。




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