僕にキが訪れる
「そんなこと言わずに……ホラ、鈴木君だって一生ここにいるわけにはいかないでしょ?
いつかはちゃんと外に出ないといけないじゃない?
その時になってまるで人と話せないようじゃ困るでしょ?」


確かに誰とも話せなくなるのは社会で生きていく上で困るだろう。


しかし僕はもうここに一生いるつもりなのだ。


ならば別に何の弊害も起こらない。


一生といっても、ほんのわずかの、あとどれだけ残されているのかもわからないような頼りない時間だが。


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