僕にキが訪れる
彼女はよくクラスメイトの話をした。

日常の話をすれば学校に来る気になるとでも思ったのか、とにかく彼女は誰がどーだとかアイツがあーだとか、僕が普通に学校に行っていた時ではまるで気がつかなかったことを、よく話した。

よくそこまで見ているものだと、僕は密かに感心すると同時に、少し呆れた。

それと、僕が『友達』として付き合っていた連中のことをよく話してくれた。

さりげなく気を回しているのだろう。

既にその『友達』は僕の中では過去の人となっていたが、しかし彼女があまりにも一生懸命話すものだから、仕方なく熱心に頷くフリをすることにした。
< 56 / 206 >

この作品をシェア

pagetop