僕にキが訪れる
ベッドの上に寝転がり、ぼんやりと天井を見上げる。

手を顔の上にかざすと、今朝方間引いたばかりだというのに、別の箇所から芽が生えていた。

見落としていたかな。

何とはなしにその芽を見つめる。


「……」


しばらく見つめた後、僕は力いっぱいにその芽をむしり取った。


痛い。


……僕は、まだ人間だ。



それでも、いつかは。



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