【短編】SAKURA*MAGIC
黙ってたら、対象外にしたくない、みたいに考えてると思われてもしょうがないんだけど……
何だか、素直に頷きたくない気持ちもあって。
……たぶん、絶対さっきのが悪いんだ。
桜の下に佇む希咲を可憐だと思ったりだとか、俺と手を繋いだだけで幸せそうな表情を浮かべたりだとか。
……絶対、桜の呪い……
いや、魔力?魔法?みたいなのとか、ありそうな気がする。
俺が希咲を幼馴染み以上に見るなんて、今さらありえないし。
でも……、
「希咲は可愛いんだよな」
心の中で呟いたつもりが声に出ていて、またもや大和に叩かれたのは言うまでもなく……
「お前は……、何シレッと言い放ってんだよ?」
「別にいいじゃん!?希咲は、お前のもんじゃないんだから……
俺が希咲をどんな風に思おうが、大和には関係ないだろ?
“実は、大和はシスコンだ!”
……って、桃果ちゃんにバラすぞ!?」
しまいには、口喧嘩を始めた俺と大和の横で、ニヤニヤとした渉が密かに企んでいることに、全然気付けていなかった――…