【短編】SAKURA*MAGIC
いつだって、君贔屓
すでに満開に近い桜は、日を追うごとに漂う風に吹かれて花びらを舞わせ、淡い芳香を香らせて春の訪れを実感させる。
それを見やりながら考えるのは、……希咲のコト。
どうやって、夜桜を見せようか……
そのことばかりに考えを巡らせ始めて、すでに数日が経っている。
早くしないと……
桜が散るその前に、希咲の望みを叶えてやりたい――…
「でもなー…、無理させるわけにはいかないし……」
せめて、希咲の風邪が治ってたならよかったんだけど。
……来年の春、とかじゃ納得してくれない…よな?
一応、今日の昼に会った時にでも聞いてみるか。
「溜息吐くほど、希咲ちゃんに会いに行きたいのー?
お昼までマダマダ時間あるんだから、ちゃんと働いてくださいな?見習いサン!!」