【短編】SAKURA*MAGIC


店先から遠くに見える桜を眺めて、溜息まで吐き始めた俺に声を掛けてきたのは、

様々な花を彩り良く、尚且つ、バランスよく束に纏めているこの店のオーナー兼俺の母親。


クスクスと笑いながら、俺の頭の中を半分くらいは見透かした発言に、一瞬ドキリとしながらも、




「そんなことないって。ちゃんと、店番してるしさ?」




取って付けたような言葉を返していると、エプロンのポケットの中で携帯が震えていることに気付いた。


開いた携帯にはメールが受信されていて、それは大和からで……


『今日は希咲のトコ、行かなくても大丈夫だから』


……とかいう、随分勝手な言い分で、俺は少しばかり乱暴に携帯を閉じて、またもや溜息を吐いてしまっていた。


別に残念とか思ってないけどさ?


いつもと違ったら、調子狂うっていうか……って!!


なんでこんなに、誰に話してるわけでもないのに、頭の中で言い訳を述べてしまっているんだか……



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