【短編】SAKURA*MAGIC
嵌まる策略
焦る気持ちだけが先走って、けたたましくインターホンを鳴らしてしまう。
萩原家の中に誰がいるのか……なんてわからないけど、渉が希咲といることは確実で、それが無性に落ち着かない。
「ハイハイハイ……って、和樹?」
「大和……ッ!!希咲はッ!?」
呑気に出てきた大和の胸ぐらを掴みながら、なぜか必死な俺。
早く希咲に会いたい……!!
……それしか考えられなくなっていて、そんな自分の行動がどんな意味を持つモノなのか気付かず、衝動に突き動かされるままだったんだ。
「2階の部屋にいるって。
……渉と二人っきりでな」
何を考えているんだ?と問いたくなるほど、大和はサラッと答えていて。
その言葉を聞いた俺は、それはもう俊敏に靴を脱ぎ捨て2階への階段を昇っていった。