【短編】SAKURA*MAGIC
「スゲー…、予想以上に早く来たな……」
大和が苦笑しながら呟いた一言なんて、もちろん耳に入るわけもなく、希咲の部屋のドアを普段は欠かさないノックもせずに、勢いよくドアノブを回すと同時に引き開けていた。
「希咲……ッ!?」
「え、カズ?そ、そんなに慌ててどうしたの!?」
目をパチクリとさせてきょとんとする希咲と、笑いを堪えているのか腹を押さえている渉。
二人と俺とでは……、かなりの温度差。
とりあえず、普通の様子の希咲にホッとして、安堵の溜息を吐いてしまっていた。
「和樹、どうしたんだよ?
……って、怖ッ!!」
こんなにニヤニヤしている渉は初めて見るんじゃないかというほど、渉は気持ち悪いくらいにニヤけて笑うのを堪えているようで、
俺は走ってきた疲れも手伝って、真顔で渉を見返していた。