【短編】SAKURA*MAGIC




「さーて、なんでだろうな?
……ってか、オレが希咲ちゃんといることにそんなに怒る権利、和樹には無いよな?二人はただの“幼馴染み”なんだから」




グッと言葉に詰まった俺と、ほんの少しシュン…としょげているようにも見える希咲。


渉はといえば、俺を真っ直ぐに見返して平然としてるしで、……だんだん腹立ってきた。




「確かに俺たちは幼馴染みだけど、……俺が希咲を好きだからいいんだよ」




怒りが沸点に達したのか、静かに怒気を含んだ声が俺から滑り落ちていた。


それは俺自身も予期していなかった言葉で、ハッと気付いた時には、言われた言葉を理解しきれていない様子の希咲と楽しげな笑みを浮かべた渉の視線を俺は一身に浴びていた。




「いや、これは…その……」


「……ってわけらしいし。希咲ちゃん、あとよろしく」




取り繕うにも俺が一番動揺していて、ニッと笑って希咲の方を見た渉に、俺はただただ視線を向けていた。



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