【短編】SAKURA*MAGIC
夜桜の下の希咲は、やっぱり可憐で儚くて、色っぽいどころか妖艶で……
「……好きだ」
口から滑り落ちる言葉は、昼間と同じだけど。
この言葉は、いつから始まっていたのかさえ今となってはわからない、……俺の素直な感情が十分に詰められている。
「カ、ズ……?それって、本当?」
「……うん。幼馴染みとしてじゃなく、希咲が好き、……なんだけど。……って、うわッ!!?」
突然、希咲がギュッと抱き着いてきて、その衝撃に耐えて受け止めていたら、
『希咲にとって、俺は何?』
……そう、聞きそびれてしまった。
「私……、カズの周りにいる女の子みたいに、可愛くないしキレイでもないよ?」
「はぁ!?希咲は十分、可愛いしキレイだって!!」
あれだけ高校の時にイケメンだと持て囃されてた大和の妹が、何言ってんだか……
希咲も十分、無自覚?
……って、そんなに自覚出来るほど、集団に慣れてないんだった。