【短編】SAKURA*MAGIC
「じゃあ、私をカズの特別にして?」
妖艶に揺らめく夜桜の下、儚くも可憐な君に上目遣いでそんなこと言われて、落ちないヤツは絶対にいないだろ……?
「……うん。とりあえず、俺以外と“桜”は見ないでね?」
桜の魔力に魅せられて、
―――希咲が魅力を増すように。
―――そんな希咲に俺以外が酔わないように。
俺の私情が入り乱れた言葉を希咲へと伝えれば、
「へ?どうして……?」
……当たり前のように聞き返されるわけで。
「―――桜の魔力には、誰も敵わないから」
抱き着いているままの希咲を抱き締め返して、もう一度、頭上の桜を見上げていた。
『桜の花には、君』
そんな方程式には、一生、誰も気が付かないで――…
そう、夜桜に俺の願いを託すように、想いを馳せた。
【END】