【短編】SAKURA*MAGIC
あー…、またそんな態度でそんな顔して、俺を困らせるんだから。
本当に、どうしたものか……と頭を抱えてしまいそうになる。
昔から、希咲の望みも願いも、
何でも叶えてやろうと無理してでも聞いてしまう俺がいるから、困ってるっていうのに……
「希ー咲?……言っていいよ?」
なるべく出来る限りの優しい声音で、俯いてしまっている希咲に声を掛けると、
恐る恐るといった様子でそっと顔を上げた希咲は、迷いながらも遠慮がちに口を開いた。
「夜桜、……見てみたい」
「……夜桜?」
コクンと控えめに頷いた希咲に、ついさっき見上げたばかりの桜色の空へと目線を向けながら、やっぱり頭を悩ませてしまっていた。
“夜桜”、ね……