【短編】SAKURA*MAGIC
「……考えとくよ。だから、今日は言うこと聞いて?」
「ハーイ。じゃあ、……ハイッ!!」
『ハイッ!!』と同時にニッコリ微笑みながら差し出された手に、一瞬、躊躇いつつも。
“希咲に限って、そんなわけない……”
その思いの方が強くて、俺は苦笑しながら掌を重ねた。
嬉しそうに……でも控えめに、
口の端を上げて幸せを噛み締めるような表情の希咲を見た、その一瞬。
……心臓が狂ったように、鼓動が早まったのを感じた。
永瀬和樹(ナガセ カズキ)、18歳――…
高校卒業したての俺の日課は、
幼馴染みの希咲の子守り、みたいな?
昔から、風邪やら貧血やら……
大したことない病気でも、ありえないくらいにこじらせる、体の弱い希咲。
現に今は、風邪をこじらせ肺炎一歩手前と医者に告げられ、自宅療養中。