【短編】SAKURA*MAGIC
見張ってないと無理ばかりするから……
ということで、なぜか昼の休憩時間は、希咲の様子見と付き添いが俺に課せられた。
それもこれも、たぶん俺の仕事が親の経営する生花店の見習いで、時間に融通が効くからなのはもちろんのこと。
『どうせ一緒にいるなら、カズがいい』
……と話したらしい、希咲のせいだ。
希咲の両親も、希咲の兄でもう一人の幼馴染みである大和も、俺を頼りすぎだし信用しすぎじゃないか?と思うんだけど……
まぁ、物心ついた頃から一緒にいると、こんなものなのかもしれない。
それにしても、夜桜か――…
高3に進級したばかりなのに、
早速、学校を休んでる希咲を夜に連れ出せるわけはないし、風邪が治るのを待っていたら桜が散ってしまうだろうし。
だからと言って、希咲の願いを無下にするのも躊躇われる……
新たに生まれた悩みの種に、心の中で溜息を吐いて。
無意識に、希咲の冷たい手を握り直して、暖めるように包み込んでいた――…