世界の終りに恋の歌を
人魚の姫は、人間の王子を殺すことなどとても簡単だと思いながら海の中を進んでいきました。

そばまで行って、水鏡に王子が姿を映したら、そこを一突きすれば良いだけの事ですから、すぐに済むはずです。

そうすれば、彼のことが頭に浮かんでくることも、この胸が苦しいのも、気分が揺れることもなく、元にもどります。

弾むような気持ちで、青く澄み渡りサンゴや魚たちが見送る海の中を彼に逢いに急ぎました。

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