60代の少女
元博は深いため息をついて、アトリエの中に戻った。自分の荷物をまとめて、愛用のショルダーバッグを提げる。
「・・・送ってくよ」
「え?でも・・・」
いちは目を瞬いて、四五六を見た。四五六は「構わない」というように、葉巻を持った手を軽く振る。
「いいからいいから。あ、元博がなんかしようとしたら、病院送りくらいにしといてもいいからな」
「変なこと言わないで下さい、師匠」
「・・・じゃあな」
軽い笑いを残して、四五六はアトリエの中へと引っ込んでいった。
< 14 / 113 >

この作品をシェア

pagetop