60代の少女
「あんな子いたっけ?うちのコース。可愛い子は大体チェックしてるつもりだったんだけどな」
「・・・確か、日本画専攻してるって言ってたけど」
「へえ・・・。で?どこで知り合ったんだ?」
「師匠の知り合いなんだよ。同郷だって」
「なるほど。そっちか」
「どっちだ?」と聞きたくはなったが、麟太郎の話の調子はいつものことなので放っておく。
そうこうしているうちに、いつもの学食に辿り着く。
いつもの席に腰かけて、いつものメンバーと顔を合わせる。
いつもと違うのは、自分の目の前にあるのがA定食じゃなくて、誰かさんの手作り弁当だということと、メンバー達の物珍しそうな視線だけだろう。
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