60代の少女
アトリエの掃除はここに来ての日課だが、四五六の作品や画材でごった返したアトリエは、お世辞にも綺麗とは言えない。完成した絵のほかに、描きかけにしたままの絵も、壁に立てかけるような形で無数に置いてある。完成した絵はともかく、描きかけのものに関しては、四五六がまた描き出すこともあれば、そのまま放って置かれるものもあり、ひどいものは元博が弟子になったときから、筆を全く入れられていない作品もある。その辺はおそらく、この立てかけられた作品の一番下辺りだろう。その作品たちが、もう一度日の目を見る日があるのか、怪しい。
「ふーん・・・。四五六さんらしいといえばらしいかな。―――あ」
辺りを見回していたいちは、1つの作品に目を留めたようだった。椅子から立ち上がり、そのキャンバスへと駆け寄る。
「ふーん・・・。四五六さんらしいといえばらしいかな。―――あ」
辺りを見回していたいちは、1つの作品に目を留めたようだった。椅子から立ち上がり、そのキャンバスへと駆け寄る。