60代の少女
元博は描きかけの絵の前に座り、筆を握った。
その横の作業テーブルに、いちの入れたコーヒーが置かれる。
「・・・ありがとう」
「どういたしまして。あ、そだ」
いちはバックの中から小さな封筒を取り出した。
「これ、一緒に行かない?」
「・・・何?それ」
「横川先生の個展。丁度やってるの。チケット2枚貰ったから」
いちの手の中に、繊細な絵柄の2枚のチケットが握られる。
元博は師の背中を見やった。四五六は、キャンバスにのめりこむ様にして、作品に没頭していたが、元博の視線に気付くと、筆を握った手を軽く振った。
「・・・行って来い。お前がいない間に、出展作品決めておくから」
「それ、本当でしょうね?」
「お前も疑り深いねぇ・・・だがま、あんまり期待するなよ」
師の微笑にうまく話をはぐらかされた気もするが、とりあえずそれを見送りの挨拶にして、元博といちはアトリエを出た。
その横の作業テーブルに、いちの入れたコーヒーが置かれる。
「・・・ありがとう」
「どういたしまして。あ、そだ」
いちはバックの中から小さな封筒を取り出した。
「これ、一緒に行かない?」
「・・・何?それ」
「横川先生の個展。丁度やってるの。チケット2枚貰ったから」
いちの手の中に、繊細な絵柄の2枚のチケットが握られる。
元博は師の背中を見やった。四五六は、キャンバスにのめりこむ様にして、作品に没頭していたが、元博の視線に気付くと、筆を握った手を軽く振った。
「・・・行って来い。お前がいない間に、出展作品決めておくから」
「それ、本当でしょうね?」
「お前も疑り深いねぇ・・・だがま、あんまり期待するなよ」
師の微笑にうまく話をはぐらかされた気もするが、とりあえずそれを見送りの挨拶にして、元博といちはアトリエを出た。