60代の少女
アトリエで四五六と元博が2人だけの時は、ほぼ無言で過ごすことが多い。
お互いそれだけ目の前の絵に集中しているというのもあるが、正直特に必要な会話がないからである。
元博も四五六も、お互いのことはあまり語らなかったし、聞こうともしなかった。
―――そのはずだったのだが。
「・・・そういやお前、いちちゃんと付き合ってんのか?」
突飛な師の言葉に、元博は思わず筆を止めてしまった。
「なんで、そんなこと聞くんです?」
そもそも四五六は、自分にあまり干渉させない代わり、他人にも干渉しない性質だった。
事実、どこに住んでるとかどこの出身だとか、半儀礼的な質問はされたものの、なんで絵を描くのかとか友人はどんなヤツがいるのか、という深い話をしたことがなかった。
元博の質問に、四五六の答えは返ってこなかった。こちらの回答を待っているのだと、判った。
お互いそれだけ目の前の絵に集中しているというのもあるが、正直特に必要な会話がないからである。
元博も四五六も、お互いのことはあまり語らなかったし、聞こうともしなかった。
―――そのはずだったのだが。
「・・・そういやお前、いちちゃんと付き合ってんのか?」
突飛な師の言葉に、元博は思わず筆を止めてしまった。
「なんで、そんなこと聞くんです?」
そもそも四五六は、自分にあまり干渉させない代わり、他人にも干渉しない性質だった。
事実、どこに住んでるとかどこの出身だとか、半儀礼的な質問はされたものの、なんで絵を描くのかとか友人はどんなヤツがいるのか、という深い話をしたことがなかった。
元博の質問に、四五六の答えは返ってこなかった。こちらの回答を待っているのだと、判った。