60代の少女
「あら、元博くん。久しぶりじゃない」
「2週間前に会ったじゃないですか」
「2週間は久しぶりでしょ。毎日顔を会わせる子だっているし。どう?笹本先生とはうまくやってる?」
用件を聞くまでもなく、彼女の第一声は、いつもこれ。
「私はヤキモチ焼きでおせっかい焼き」と、これも彼女の言。
「ちゃんとやってますよ」
「うん、よしよし。ここでうまくやれてませんなんて言われたら、私の立つ瀬がないからね」
彼女は腕を組み、大げさに頷いてみせる。それを横目にしながら、元博は借りていた本を鞄から探り出した。
「歴史小説好きよね、元博くん。今回のはどうだった?・・・ああ、ここに返却日書いといて」
江梨子の差し出すボールペンを受け取って、今日の日付を書く元博に、彼女は忙しない。
「この作家さん、人気で、しばらく貸し出しの予定でいっぱいよ。その最新刊なんだから、一番最初に借りた人間として、感想ぐらい聞かせなさい」
「・・・感想、ね」
「2週間前に会ったじゃないですか」
「2週間は久しぶりでしょ。毎日顔を会わせる子だっているし。どう?笹本先生とはうまくやってる?」
用件を聞くまでもなく、彼女の第一声は、いつもこれ。
「私はヤキモチ焼きでおせっかい焼き」と、これも彼女の言。
「ちゃんとやってますよ」
「うん、よしよし。ここでうまくやれてませんなんて言われたら、私の立つ瀬がないからね」
彼女は腕を組み、大げさに頷いてみせる。それを横目にしながら、元博は借りていた本を鞄から探り出した。
「歴史小説好きよね、元博くん。今回のはどうだった?・・・ああ、ここに返却日書いといて」
江梨子の差し出すボールペンを受け取って、今日の日付を書く元博に、彼女は忙しない。
「この作家さん、人気で、しばらく貸し出しの予定でいっぱいよ。その最新刊なんだから、一番最初に借りた人間として、感想ぐらい聞かせなさい」
「・・・感想、ね」