60代の少女
人の感情など、一番度し難いものだ。だからこそ、形にする価値がある、とよく語っていたのは、他でもない、四五六だった。プライベートには干渉せず、一番度し難いものだと語っていたはずの人の感情に、四五六は今、セーブをかけろと忠告しているのだ。
―――無理に、決まっている。
そう言葉にしようとした元博は、こちらを振り返った四五六に遮られた。
「・・・彼女を好きになったら、お前は不幸になる。そして彼女が、お前を好きになったら、彼女も―――不幸になる」
「・・・それは、俺が彼女を幸せにはできないって言ってんですか?」
「そうじゃねぇさ。お前はいい絵を描く。お前が生きてる間は、彼女をちゃんと幸せにしてやれるだろうよ」
「だったら―――」
「彼女は年を取らないんだよ」
言いかけた元博の言葉を、脈絡のない師の言葉が遮った。
元博は、思わず言葉を飲み込んだ。
今、四五六は、何と言った?
―――無理に、決まっている。
そう言葉にしようとした元博は、こちらを振り返った四五六に遮られた。
「・・・彼女を好きになったら、お前は不幸になる。そして彼女が、お前を好きになったら、彼女も―――不幸になる」
「・・・それは、俺が彼女を幸せにはできないって言ってんですか?」
「そうじゃねぇさ。お前はいい絵を描く。お前が生きてる間は、彼女をちゃんと幸せにしてやれるだろうよ」
「だったら―――」
「彼女は年を取らないんだよ」
言いかけた元博の言葉を、脈絡のない師の言葉が遮った。
元博は、思わず言葉を飲み込んだ。
今、四五六は、何と言った?