60代の少女
しゃがんだ膝に顔を埋めるようにしているいちの表情は読み取れなかったが、少なくとも笑ってはいないだろう。
腕で膝を抱えているいちの指先に、少しだけ力が入っているのが判った。
「―――・・・細胞が、異常なくらいに、活性化してるって・・・。それくらいしか、私にも判らない・・・」
「・・・そうか・・・」
元博は、それ以上何も言わなかった。正確には言えなかった。
不老不死の人間がいるなんて、そんな話をすぐに受け入れられるはずがない。しかもそれが、自分の特別な人であるならなおさらだ。
それきり、2人は黙り込んだ。普段なら気になる沈黙が、まったく気にならなかった。
どうしていいのか判らず、何を言ったらいいのかも判らず、ただ時間だけが正確に進んでいく。
腕で膝を抱えているいちの指先に、少しだけ力が入っているのが判った。
「―――・・・細胞が、異常なくらいに、活性化してるって・・・。それくらいしか、私にも判らない・・・」
「・・・そうか・・・」
元博は、それ以上何も言わなかった。正確には言えなかった。
不老不死の人間がいるなんて、そんな話をすぐに受け入れられるはずがない。しかもそれが、自分の特別な人であるならなおさらだ。
それきり、2人は黙り込んだ。普段なら気になる沈黙が、まったく気にならなかった。
どうしていいのか判らず、何を言ったらいいのかも判らず、ただ時間だけが正確に進んでいく。