60代の少女
正直あまり本音は他人に話さない性質だが、普段プライベートに干渉してこない師が、この件に関してだけはしつこいので、ついつい本音が出てしまった。
「好きなのだから、関係ない」と。
愛に年の差は関係ないとよく言うが、まさにその状況。そもそも彼女は普通にしていれば、62歳だなんて、冗談にしか聞こえない外見である。
「別に、お前が良いって言うならいいんだけどな」
四五六は元博に背を向けた。並んで立っていた元博と、丁度背中合わせになる。
いつも見ている背中は見えなかったが、何かを語ろうとしていることは判った。
「…お前はまだ若いから、考えたこともないだろうが」
いつもとほんの少しだけ違う、四五六の声。
その音は、空気が胸を押しているようだった。
そんな声で。
「好きなのだから、関係ない」と。
愛に年の差は関係ないとよく言うが、まさにその状況。そもそも彼女は普通にしていれば、62歳だなんて、冗談にしか聞こえない外見である。
「別に、お前が良いって言うならいいんだけどな」
四五六は元博に背を向けた。並んで立っていた元博と、丁度背中合わせになる。
いつも見ている背中は見えなかったが、何かを語ろうとしていることは判った。
「…お前はまだ若いから、考えたこともないだろうが」
いつもとほんの少しだけ違う、四五六の声。
その音は、空気が胸を押しているようだった。
そんな声で。