60代の少女
「ここから見て、城が燃えていると思って、白虎隊は自刃したんだ。そのときはまだ篭城戦の最中で、城は落ちてなかったんだけども」
「・・・でもあんなに小さくしか見えないんじゃ、勘違いしても無理はないか」
元博は目を細めて、天守を凝視した。
街並みに埋まるようにして立つそれは、フィルターがかかったような薄さと小ささで、言われなければ見えないだろう。
「そうだなし。昔はもっとちゃんと見えたんだけども」
老婆も元博と同じ方向に視線を流す。
「おれが生きてる間に街並みはどんどん変わって、マンションは建つわ工場は建つわで、年々白虎隊の見た風景から遠ざかってるんじゃねぇかと思うなぁ」
「そっか・・・」
日本の成長の中で、この街も変わってきた。
街が変わると当時に変わってきた人がいる。
自分の師は、この中で育ち、この中で変わった。
この老婆も、この中で育ち、この中で変わってきたのだろう。
しかし―――
「・・・でもあんなに小さくしか見えないんじゃ、勘違いしても無理はないか」
元博は目を細めて、天守を凝視した。
街並みに埋まるようにして立つそれは、フィルターがかかったような薄さと小ささで、言われなければ見えないだろう。
「そうだなし。昔はもっとちゃんと見えたんだけども」
老婆も元博と同じ方向に視線を流す。
「おれが生きてる間に街並みはどんどん変わって、マンションは建つわ工場は建つわで、年々白虎隊の見た風景から遠ざかってるんじゃねぇかと思うなぁ」
「そっか・・・」
日本の成長の中で、この街も変わってきた。
街が変わると当時に変わってきた人がいる。
自分の師は、この中で育ち、この中で変わった。
この老婆も、この中で育ち、この中で変わってきたのだろう。
しかし―――