60代の少女
翌日、元博がアトリエの扉を開けると、いつも通り師の背中があった。
挨拶もせずに、自分の作品の前に座ると「お前、挨拶くらいしたらどうだよ?」と、師に悪態をつかれる。
その本気とも冗談とも取れない声音は、やっぱり腹が立つ。
その言葉を完全に無視して、元博は掃除のために、箒を手に取った。
ほぼ同時に四五六が立ち上がる。
「・・・どこいくんですか?」
「木炭折れた。店、行ってくるわ」
軽く手を振った四五六は、アトリエの扉を潜っていった。
木炭が折れたということは、デッサンか速写の最中だったのだろうか。
そういった基本中の基本には、あまりこだわらない師である。
挨拶もせずに、自分の作品の前に座ると「お前、挨拶くらいしたらどうだよ?」と、師に悪態をつかれる。
その本気とも冗談とも取れない声音は、やっぱり腹が立つ。
その言葉を完全に無視して、元博は掃除のために、箒を手に取った。
ほぼ同時に四五六が立ち上がる。
「・・・どこいくんですか?」
「木炭折れた。店、行ってくるわ」
軽く手を振った四五六は、アトリエの扉を潜っていった。
木炭が折れたということは、デッサンか速写の最中だったのだろうか。
そういった基本中の基本には、あまりこだわらない師である。