恋の神サマ!

私はおばあちゃんと少し話したあと、すっかりウキウキな郁おねえちゃんと一緒に家へ戻った。


家はお社から5分ほどのところにある。



リビングへ行くと、中3の弟、朔(さく)が不機嫌な顔で朝食の準備をしていた。

「向姉遅い。なんで俺が全部やんなきゃなんねんだ……って、げ、郁姉!!」


朔は本気で嫌そうに後退る。

郁おねえちゃんはそんな朔を嬉々とした顔で追いかけ、抱き締めた。


「朔久しぶりーっ」

「だーっ!!!!いつもいつも抱きついてくんなっ!!!!」

いつもはクールな朔が、郁おねえちゃんといるときは騒がしくなるのが私ははたから見ていて面白い。



朔は母譲りの黒髪の私や郁おねえちゃんと違って、父譲りのふわふわ茶色猫っ毛だ。


でもそれが涼しげな目もとと相まって身内ながらかっこいいと思う。



やっとのことで郁おねえちゃんをひっぺがした朔は、不機嫌最高潮に席に着いた。
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