恋の神サマ!
今までにないスピードで教室に向かった私は――
案の定遅刻だった。
「はい、残念、占宵遅刻」
無常な先生の言葉にクラスメイトは笑い、私はがくっと肩を落とす。
とぼとぼと席にむかい、腰をおろした。
遅刻なんて人生初。
くやしすぎる―――っ!!!!!!!!!
だいたい、あいつ――仁科悠芽が話し掛けてさえこなきゃ………
ん??
私はここでさっきの状況を冷静に思い返す。
なんか逃げてきちゃったけど…けっこうまずくない??
ごまかすより、口止めしといた方がよかったんでないかい??
顔からさぁっと血の気がひく。
どうする??
彼にまた会いに行く??
でもわざわざ行かなくてもあいつはあまり気にしてないのかもしれない。
証拠もないし、このまま接触しなければ忘れてくれるかも………
―――っもう!!!!!!
「なかったことにしよう!!」
私は机をどん、と叩き、そう決断した。
ホームルーム中ということも忘れて。
だから
「なかったことにはならないぞ」
という先生の言葉に更に青くなったのは言うまでもない。