1ページの恋模様

あの人は…

 
彼と仲良くなったのが中学2年の時。

文化祭の係が一緒になったのがきっかけ。

彼は2組、わたしは8組。
彼はバスケ部、わたしは吹奏楽部。

接点のない2人。クラスは離れているし、文化祭が終われば話すことがなくなった。

たまに廊下で会った時くらい。

すれ違い様に交わす、言葉のキャッチボールもそんなに弾まない。



んで、気がついたら卒業…。

同じ高校でもないし。

会うことなんてもちろんない。
それでも、まだ好きって。

どれだけ一途なんだろうか。



こうやって友達と街をぶらついている時だって、その辺にいるんじゃないかってキョロキョロ辺りを気にしちゃってる。


何期待してんだろ…、バカみたい。


何で、もっとがんばらなかったんだろう…。

だって、こんなに後悔しちゃってる。



片想い3年って、長すぎる。

かなり痛いよね。


でも、諦められなかった。忘れられなかったんだ。



彼はわたしの気持ちなんて知らないんだ。


きっと、彼女…、いるよね。


ああ…、何で電話番号くらい聞けなかったのかなぁ…。



……!?



わたしの目線のずっとずっと先にいる、懐かしい姿をとらえた。

間違いない、彼だ…。


思わず口許に手を添えた。


会いたくて堪らなかった彼が一人で道路を挟んで向かい側を歩いていた。


『ちょっと、ごめんっ!!先行ってて!!』

と、呆然とした友達を置いてわたしは疾風の如く走り出していた。

3年間片想いしていた彼の元へ…。



遠ざかる背中に。
早く、早くっ。と、焦る気持ちが治まらない。会って何から切り出せばいいか考えがまとまっていないくせに…。


でもこれだけは…。
今、気持ちを伝えて終わりにしよう。


―ずっと、ずっと会いたくて、声が聞きたくて、好きだと言いたかった。この想いだけは…―。

< 4 / 5 >

この作品をシェア

pagetop