liarain
電話1本で駆けつけてしまう僕は、都合のいい男なのかもしれない。

だけど居ても立ってもいられないんだ。

どうか、泣いていませんように。

そんな嘘を祈りながら、僕は彼女のもとへ飛んでいく。



本当は、泣いていてほしいくせに。

彼女の心に雨が降った時だけ、僕は彼女に会う口実ができるから。



だけど、いつも僕は「どうか、泣いていませんように」と願ってしまうんだ。





「私、どうしたらいいのかな?」

彼女は独り言とも取れるくらいそっと呟いた。

その質問に対する僕の答えは、ずっと前から決まっている。

そんな男、もうやめなよ。

その一言がいつもどうしても言えない。

だって彼女の望んでる応えはそうじゃないんだ。
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